養育費、孤独、将来の不安。離婚した後の「困った」を経験者の知恵で乗り越えるヒント

著者
森本 由紀/ 離婚カウンセラー
執筆者
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離婚が成立すると、大きな決断をやり切った安堵と同時に、これからの生活への不安や孤独を感じることも少なくありません。養育費の問題やお金の不安、ふとした瞬間に押し寄せる寂しさなど、離婚後になって初めて直面する現実もあります。

この記事では、そうした離婚後の「現実的な困りごと」を無理なく乗り越えていくためのヒントをお伝えします。



1. 離婚後に直面する「現実的な困りごと」の乗り越え方


自分の意思で離婚したものの、養育費や面会交流、お金の不安、孤独感などの悩みが生じることは珍しくありません。ここでは離婚後に直面しやすい「現実的な困りごと」と、どのように向き合っていけばよいのかをお伝えします。


1-1. 養育費が途絶えた不安……「子どもの権利」を毅然と守る


離婚後、養育費の支払いが滞ったり、途中で途絶えてしまったりするケースは少なくありません。約束していたはずなのに支払われない状況に、不安や怒り、やるせなさを感じるのは当然のことです。


養育費が支払われない場合、「相手に言いにくい」と感じたり、「どうせ言っても払ってもらえない」とあきらめてしまったりすることもあります。しかし、養育費は子どもの権利であり、請求することに後ろめたさを感じる必要はありません。支払いが滞っているときは、感情的になるよりも、事務的に対応していくことを意識してみましょう。


とはいえ、相手に伝えても現実に支払ってもらえないケースや、やりとりそのものが大きなストレスになるケースもあります。そのような場合には、無理をせず、弁護士への相談を検討するのも一つの方法です。


自分一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の力を借りながら、現実的な解決方法を見つけていきましょう。


1-2. 面会交流の日の「モヤモヤ」を自分なりにやり過ごす


面会交流の日になると、気持ちが落ち着かなくなる人もいるはずです。相手と関わることに生理的な拒絶感を覚えたり、面会が終わった後に虚脱感に襲われたりすることもあるでしょう。


離婚に至るまでの経緯がある以上、相手に対してさまざまな感情が残っているのは自然なことです。子どものために良好な関係を築こうと、最初から無理する必要はありません。自分の心の平静を保てる距離感を大切にしていきましょう。


2026年4月に共同親権が導入されたため、離婚後も親同士が協力しながら子育てをしていくスタイルを選ぶ人は今後増えていくと考えられます。コミュニケーションのストレスを減らしながら連携していくために、子どもの情報を共有する方法や面会交流のルールをできるだけ具体的に決めておくことが有効です。


たとえば、アプリを使って子どもの写真や動画、行事予定のカレンダーを共有する方法なら、直接やりとりする煩わしさを軽減できます。面会交流の前後の連絡方法、面会時の費用の負担などもあらかじめ決めておけば、小さなもめごとを防ぎやすくなります。


離婚後は、夫婦としてではなく、子どもの親としての信頼関係を一から築いていかなければなりません。相手に「こうしてくれて当然」と期待するのではなく、必要なことはルール化してしまうのがおすすめです。


1-3. 「お金の不安」の正体を見つめ、心を落ち着かせる


離婚して世帯収入が減ったことは、大きな不安材料となります。「お金の不安」は、「先が見えないこと」から大きくなっている場合があります。まずは、現在の収入と支出を書き出し、家計の状況を一度整理してみましょう。現状を可視化すれば、不安が少し軽減されるかもしれません。


ひとり親家庭を支援する制度は多数用意されています。児童扶養手当のほかにも、住民税や国民健康保険料の減免、水道料金の軽減など、自治体ごとにさまざまな支援があります。利用できる制度に申請もれがないか、改めて確認してみましょう。


病気や失業などによって急な出費が発生したり、収入が途絶えたりすることに不安を感じる人もいるかもしれません。こうしたリスクも、健康保険の傷病手当金や高額療養費制度、雇用保険などの公的制度によってカバーできる部分が大きくなっています。どのような制度があるのかを知っておくだけでも、「何かあったときにも大丈夫」と思える安心感につながります。


1-4. 煩雑な手続きに心が折れそうな時ほど、自分を労う


離婚後は、役所での手続きや名義変更など、多くの事務作業に追われることになります。離婚そのものにエネルギーを使い切った後でさらに手続きの負担が重なると、「どうして自分だけがこんな大変な思いをしなければならないのだろう」と泣きたくなることもあるでしょう。


実は、こうした手続きを一つ一つ進めていくことは、気持ちの整理にもつながっています。住所や名義を変えていく過程は、これまでの生活から少しずつ距離を取り、新しい生活へ移行していくためのプロセスでもあるのです。


だからこそ、「早く終わらせなければ」と焦るのではなく、一つ終えるごとに自分をねぎらうことを意識してみてください。たとえば、住所変更を済ませた、口座の名義変更を終えたといった小さな一歩でも、「今日も前に進めた」と感じることができます。


ときには休憩を取りながら、「ここまでよくやっている」と自分に声をかける時間も大切にしていきましょう。


1-5. 孤独感や周囲の視線に疲れた時の「心の境界線」の引き方


離婚後は、ふとした瞬間に強い孤独を感じたり、周囲の視線が気になったりすることがあります。親戚や知人から事情を聞かれたら、「どこまで話せばいいのだろう」と戸惑うかもしれません。


もちろん、信頼できる人には、自分が話したい範囲で気持ちを打ち明けてみるとよいでしょう。ただし、人それぞれ立場や考え方は異なります。誰もが理解してくれるとは限りませんし、すべてを正直に話す必要もありません。自分の心の平穏を最優先に考えましょう。


離婚について周囲に理解してもらうことに、無理にこだわる必要もありません。これから自分がどのように生きていくかを大切にし、少しずつ自分らしい生活を整えていくこと。その積み重ねが、結果として周囲の見方を変えていくこともあります。



2. 「私の選択は正しかった?」と揺れる心を支える


離婚後、生活が少し落ち着いてきた頃に、「あの選択は本当に正しかったのだろうか?」と不安になることがあります。ここでは、そうした気持ちに飲み込まれずに、自分を支えるための考え方を整理していきます。


2-1. 後悔の波が押し寄せたときに思い出してほしい「当時の決意」


離婚を決断した後でも、後悔の気持ちがわいてくることは珍しくありません。ふとした瞬間に、「あのとき別れなければどうなっていただろう」と考えてしまうこともあります。


感情は波のように揺れ動くものです。特に、環境が大きく変わると、人は不安や孤独を感じやすくなります。今たまたま後悔の感情が出ているだけと考えましょう。


離婚を決意したときのあなたは、その時点で最善だと思える選択をしているはずです。その選択に自信を持ってください。少し先に進めば、「あの決断があったから今がある」と思える日が来ます。


2-2. 「子どもに申し訳ない」という罪悪感から解放されるための考え方


離婚をしたとき、「子どもに申し訳ない」と、自分を責めてしまう人は少なくありません。子どものことを大切に思っているからこそ生まれる気持ちですが、その罪悪感にとらわれ続けると、かえって子どもが不安定になってしまうことがあります。


親の離婚は、子どもにとって傷つく経験であることは確かです。しかし、人生には、親の離婚以外にも傷つく場面はいくらでもあります。親の役目は、単に子どもを傷つけないことではなく、「たとえ傷つくことがあってもそれを乗り越えられる力」を育てていくことです。


離婚という経験を、子どもにとって傷ついただけの出来事で終わらせず、子どもが大きく成長するきっかけにしませんか。そのためには、まず親自身が後ろめたさを感じず、前向きに堂々と生きることが大切です。親が自分の人生を楽しんでいる姿が、子どもにとって大きな安心になります。


2-3. 自分を責めるのをやめて、今日の小さな幸せに目を向ける練習


離婚後は、「あのときどうすればよかったのだろう」と過去を振り返ったり、「この先やっていけるのだろうか」と未来を不安に思ったりと、意識が過去や未来に向きがちになります。その中で、自分を責める気持ちが強くなってしまうこともあります。まずは、意識的に「今」に目を向けてみましょう。


離婚で大変な思いをした人も多いかもしれません。でも、大変だった人ほど、当たり前に過ごせる毎日の幸せに敏感になれます。たとえば、今日の夕飯がおいしかったこと、空がきれいだったこと、子どもが無事に学校から帰ってきたこと。そんな小さな幸せを探してみましょう。


どんなに小さなことでも、「今日よかったこと」を見つけるだけで、気持ちは少しずつ整っていきます。自分を責めるのではなく、「今日もここまでよくやっている」と認めてあげること。その積み重ねが、心の余裕を取り戻し、これからの人生を前向きに歩む力につながっていきます。



まとめ


離婚後は、生活面だけでなく気持ちの面でも揺れやすい時期です。現実的なトラブルが起こることもあれば、落ち着いたと思った後に後悔や不安がぶり返すこともあります。


何が起こっても、そのときの自分が向き合い、ちゃんと乗り越えていくことができますから大丈夫です。ただし、そのためには自分が元気でいることが何より大切。そのうえで、支援制度の情報や相談窓口を知っておくとさらに安心です。


離婚したからと言って、一人で何もかも背負わなくてかまいません。困ったときには誰かに頼ってもいいのです。日々の小さな幸せを感じながら、少しずつ元気を取り戻していきましょう。

こちらに掲載されている情報は、2026年08月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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執筆者
森本 由紀
離婚カウンセラー

行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP・2級FP技能士)の資格を持つ離婚カウンセラー。

神戸大学法学部卒業後、法律事務所勤務を経て、2012年に行政書士ゆらこ事務所を開業。

自身の離婚経験も活かしながら、夫婦関係に悩んでいる方や離婚を考えている方の相談に対応。

離婚するかどうかの気持ちの整理から、離婚協議書の作成などの手続き、離婚後の生活設計やマネープランまで幅広くサポートしている。

「離婚する・しない」という結論だけにとらわれず、相談者自身が納得できる生き方を選び、その後の人生を自分らしく歩んでいけるよう支援することを大切にしている。

法律・マネー・離婚分野を中心に、Webメディアでの記事執筆・監修も多数手がける。

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「離婚アドバイザー」とは、離婚を経験した当サービスの相談対応者を指します。名称はサービス上の呼称であり、弁護士、臨床心理士その他法律・医学・心理学等の国家資格または民間資格の保有を示すものではありません。